「劇団 風の街」事務局

江良潤・一人芝居「天の魚(いお)」のご案内

2023年秋・北海道公演 決定!

江良潤・一人芝居「天の魚」

●10月26日(木)〈東川町公演〉

◆会場:永楽寺(上川郡東川町東町2丁目10-2)
◆開場:午後6時/開演:午後6時30分

◆入場料:2000円
◆お問い合わせ・予約受付:永楽寺0166-82-2828/まつざき美容室0166-82-3324

●10月27(金)・28日(土)〈岩見沢公演〉

◆会場:武部建設株式会社・結ホール(岩見沢市5条東18丁目31)
◆27日開場:午後5時/開演午後6時 28日開場:午後3時/開演:午後4時

◆入場料:2000円
◆お問い合わせ・予約受付:江良潤・岩見沢公演実行委員会0126-22-2112

●10月29日(日)〈札幌公演〉

◆会場:札幌市資料館(札幌市中央区大通西13丁目)
◆開場:午後1時30分/開演:午後2時

◆入場料:2500円(高校生以下1000円)
◆お問い合わせ・予約受付:時来社:携帯/090-9963-3216 Mail/gziraisha@gmail.com

 

俳優・江良潤が1990年、創立メンバーの一人として立ち上げた「劇団 風の街」。現在、一人残る江良はライフワークとして「一人芝居『天の魚』」の全国公演に取り組んでいます。

「天の魚」はもともと、砂田明氏が亡くなる直前まで上演していたもの。原作は石牟礼道子氏の名著『苦海浄土』で、「公害の原点」といわれる水俣病の悲惨と人間の尊厳を描き、読者の心に深く訴えかけます。俳優・江良潤は、いまに続くその不条理の世界を一人でも多くの人々に伝えたいと、砂田氏の遺志を継ぐ形で公演活動を続けてきました。

弊社は2019年から、劇団の事務局として、江良のそうした真摯な取り組みを支援。同年秋には、東京・練馬区上石神井の古民家「おかっぱちゃんハウス」で、弊社主催の第一回公演を行いました。

今年は春の埼玉・蕨公演に引き続き、秋の北海道連続公演が決まりました。演者の息づかいがそのまま観客の皆様に伝わるような小さな空間ですが、私たちの熱い思いを込めた、手づくりの舞台をお届けしたいと思っています。ご来場を、心よりお待ちしております。

●若い世代の方々にも本当に観ていただきたい作品なので、学校をはじめとした教育機関などへの「出張公演」のご要望も受け賜わっています。ぜひ、お声がけいただければ幸いです。

「天の魚」

 主演・江良潤/原作・石牟礼道子(『苦海浄土』より)/脚色・砂田明/演出・北岡清治  

CEO

【物語】

「口はひとくちもきけん。飯も自分じゃ食やらん。便所も行きやならん。それでも目は見え耳は人一倍ほげて、魂は底の知れんごと深く……」――。江津野老が、水俣病の孫・杢太郎少年について語ります。
江津野老は、自分の妻である婆さまと、ひとり息子で水俣病の清人、そして杢太郎ら清人の三人の息子と六人で暮らしています。杢太郎少年は、胎児性の患者でした。
そこに、原作『苦海浄土』の作者である石牟礼道子が「あねさん」として訪ねてきます。あねさんは、江津野家の家宝である「九竜権現さま」を拝ませてほしいとお願いします。この家宝は、江津野老が天草から水俣に流れて来る時に、親から譲り受けた大事な運気の神様なのでした。
めったに来ない客人を迎え、江津野老は、天草弁で上機嫌に語ります。工場排水が引き起こした水俣病の苦しみを、一身に体現したような杢太郎少年を脇に置いて……。
水俣病が発生した不知火海は、かつては海の幸の宝庫でした。人々は漁をしながら穏やかな暮らしを送っていました。江津野老に は、一本釣りの夫婦船で婆さまと一緒に不知火海へ漕ぎ出した日々が忘れられません。船には鍋釜、七輪、茶碗と皿、味噌醤油、それに焼酎も乗せます。
「かかは飯たく、わしゃ魚ばこしらえる。わが釣った魚のうちから、いちばん気に入ったやつは鱗ばはいでふたばたの潮でちゃぷちゃぷ洗うて。……」
そこで鯛の刺身を山盛りに盛り上げて、飯が蒸すまでに一献傾けることにします。まずは婆さまに御酌をして……。
「あねさん、魚は天のくれらすもんでござす。天のくれらすもんを、ただで、わが要ると思うしことって、その日を暮らす。これより上の栄華のどこにゆけばあろうかい」
この慎ましくも豊かな生活を、「文明病」とも言われる水俣病は根こそぎ奪い去ったのでした。
ところで「不知火」とは、夏の夜に不知火海に現れる燐光のこと。景行天皇が肥の国を討伐した際、暗夜の海上に正体不明の火が現れたという故事に由来しています。
芝居を鑑賞した後、あなたの胸には、きっと燐光が瞬いていることでしょう。

●石牟礼道子著『苦海浄土』について                                          チッソ水俣工場の廃水に含まれる有機水銀によって引き起こされた水俣病を題材にした、石牟礼道子の代表作。1969年、講談社刊。作者である「わたくし」の視点と、患者や家族による一人語り、公式記録をジャーナリスティックに記述した文章など様々な文体を駆使して、水俣病の残酷さを浮き彫りにし、人間の尊厳とは何かを問う重厚な作品として今なお、輝きを放っている。

                                                  (作家・末永直樹)


◇江良 潤プロフィール◇

1950年、北海道岩見沢市に生まれる。69年、俳優小劇場付属養成所入所のため上京、井上ひさしに憧れてテアトルエコーに入団したが、同氏の退団にともない同劇団から離れる。74年、渋谷パルコ劇場のこけら落とし公演・井上ひさし作「天保12年のシェイクスピア」に出演。76年、別役実作品を上演していた「劇団 ナック」に参加。78年、渋谷ジャンジャンの十時劇場で、別役作品「ポンコツ車と五人の紳士」を週一回、一年間上演する。79年、別役が劇団のために書き下ろした作品「小さな家と五人の紳士」を上演。85年、「劇団 ナック」解散。90年、「劇団 風の街」を設立、主に二口剛作品を上演する。93年、映画監督・熊谷勲の作品を上演。このとき、演出に岡村春彦を迎える。96年、既存の劇場から離れ、古民家の空間を使う演劇を始める。熊谷作「風のレジェンド」を、ニューヨークでプレミア上演。それを機に海外公演をめざすが、言葉の壁を乗り越えられず、国内公演に戻り、現在に至る。
テレビには1992年から出演を始め、主な作品はNHK朝ドラ「すずらん」「ウェル亀」、フジテレビ「コーチ」「こんな恋のはなし」、NHK教育テレビ「あいうえお」、NHKラジオドラマ「古事記」、NHK大河ドラマ「義経」「江」「軍師官兵衛」など。また、映画にも、山田洋二監督「学校Ⅲ」など多くの作品に出演している。

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